Port Nollothに着くまでにE.pentops(白頭竜)・E.versicolores・E.ramiglans(ラミグランス)の3種のタコ物を見つける予定だったが、結局1種も見つけることができなかった。朝イチでE.friedrichiae(白鬼塔)を見つけた時は、植物を探すのなんて難しいことじゃないと思っていたけど、考えが甘かった。とんでもなく広いアフリカの大地で狙いの植物、しかも数が多いわけではないゆーふぉを探すのは簡単ではない。

 ナミビアのKeetmanshoopで給油したのが最後なので、Port Nollothのガソリンスタンドで給油することにした。が、店員のおっさんがなんとなくおかしい。ペルーで何度も見たこの仕草と話し方。そう、髭を生やしたおっさんのオネエだw 代金を払って釣銭を受ける時、ウインクと共に「You are nice guy.」の言葉を頂戴する。ノン気の俺は、ただただ苦笑いを返すしかなかった。。。

 給油を終え、R382号線を北へと走ってAlexander Bayに向かう。その途中、進行方向に向かって右側にE.confluenceが分布していると報告されている。しかし、実際に行ってみると、何らかの鉱物を採掘しているようで、牧場のフェンスよりも厳重なフェンスで囲われており、道路から歩いて行くには遠過ぎるので断念した。仕方なく、可能な限り道路脇を索敵しながら北上する。


R382号線の風景1


R382号線の風景2


R382号線の風景3


E.burmannii(月唱音)


メセン 名無し3−4−1


メセン 名無し3−4−2


名無し3−4−3

 緑枝類のゆーふぉはあるものの、目指すタコ物は全然見つからない。睡眠不足のせいか頭が痛くなってきた。白鬼塔の発見でダダ漏れ状態だったアドレナリンも切れてきたようで、とても眠いし、疲労で体が重い。まあ、昨日の23時からずっと起きているのだから仕方ない。まだ日は高いので、暗くなるまではがんばらなければ!


都市名標識シリーズの最初の1枚
都市名がアフリカーンス語になっている

 Alexander Bayに到着したが、町には用がないのでそのままオレンジ川沿いを東に進んだ。E.melanohydrata(多宝塔)の分布が報告されている地点を探したが、なかなかそのポイントが特定できない。だいたいこの辺りだろうと思われる場所を探したが、見つけることはできなかった。


サルコカウロン sp.


名無し3−4−4


Alexander Bay北東約10km付近の景色1


Alexander Bay北東約10km付近の景色2


Alexander Bay北東約10km付近の景色3
南アフリカ共和国とナミビアの国境になっているオレンジ川


Alexander Bay北東約10km付近の景色4
左の画像の川上側

 時間はちょうど15時。前日の日没の様子からだと、暗くなるまであと4時間ほど時間が残っている。その時間をどう有効に使うか考えた。もちろん今まで見つけられなかったゆーふぉの中で最も見つけられそうな種を再度探すのだ。多宝塔は遠征の後半でナミビアで探すチャンスがあるので、タイプ違いを見つけられないのは少し残念だが、これに固執する理由はない。分布域がはっきりしていて、最も現在地との距離が近いラミグランスに狙いを定めた。

 そうと決まったら行動は早い。Port Nollothに急いで引き返し、16時に到着した。しかし、町の周辺をあちこち索敵したものの、全く成果はなかった。


Port Nolloth付近の景色1


名無し3−4−5


Port Nolloth付近の景色2


Port Nolloth付近の景色3


Port Nollothの中心部


Port Nolloth付近の景色4

 なかなか思う通りにいかないものだ。旅も人生もそんなもの。狙ったタコ物を全て見つけることなどできないと遠征前から覚悟はしていたものの、最初のE.friedrichiae(白鬼塔)の発見で舞い上がってしまった分、気持ちの落ち込みが激しい。

 残された時間はわずか。Port Nollothの周辺でラミグランスを探し続けるか、他所へ移動して他のタコ物を探すか考えた。短い時間ではあったが、ここでの再索敵は自分なりにベストを尽くした。となると、他所へ移動した方が良い。狙うなら分布がピンポイントでわかる白頭竜がベストだ。そう考えてPort Nollothから130km/hで飛ばしてAnenous峠に戻った。

 峠に着いた頃には、もう太陽は地平線に沈みかけていた。峠から下を見下ろすと、辺りは夕焼けに染まり、影が長く伸びている。時間がない。午前中に探した所とは全く違う場所を探そうと、いくつかある峰の1つに狙いを絞った。ゴツゴツとした岩がゴロゴロする峰を上へ上へと登る。時間が惜しいので、写真も撮らずに白頭竜を探した。そして、ついにゆーふぉを発見!最初はE.rudis(仏掌閣)かと思ったが、特徴的な花を見て白頭竜と断定できた。思わず「オラーッ!!!」と雄叫びを上げてしまった。白鬼塔の発見以後はずっとダメダメだったので、最後の最後でしてやったりの気分だ。きっと野球で逆転サヨナラホームランを打ったバッターってこんな気持ちなんだろうな〜。



 分布地とはいえ、白頭竜は数が少なかった。周辺を手早く探したが、見つけたのはわずか5株ほどだった。発芽したばかりの苗が育つにはここも厳しい環境なんだろう。それにしてもやっぱり現地のタコ物は迫力が全然違う。大きさは幅30センチ近い。日本で綺麗に育てたタコ物の大株もそれはそれで良いが、やはり現地でド迫力の株を見てしまうとそのワイルドで力強い圧倒的な存在感と比べると格が違う。たぶん現地で白頭竜を見つけたのは、日本人としては俺が初めてなんじゃないだろうか。


Anenous峠の風景


白頭竜1


白頭竜2


白頭竜3


白頭竜4


白頭竜5


白頭竜の分布地
中央の最も下の株が白頭竜

 白頭竜の魅力を堪能し、ここを離れる時にはもう辺りは暗くなっていた。Anenous峠からSteinkopfに戻る。計画ではここからさらにR7号線を南下して車中泊する予定だったが、最後の最後に白頭竜を探し出した自分へのご褒美として、そして翌日以降に疲労を残さないために、予定を変更してこの町の宿に泊まることにした。R7号線が工事中で片側通行になっており、その影響でR382号線との合流点で止められた。これ幸いとばかり、誘導員に泊まれる所を訊くと、近くの建物を指して教えてくれた。そこへ行ってみると、ガソリンスタンドと食料品や雑貨を売っている店(以下『何でも屋』と表記)にモーテルが併設されていた。何でも屋の店員にモーテルの値段を訊くと、素泊まりで1泊250ランド(約2500円)だというので即決する。車を店のバックヤードに駐車し、案内された部屋へ。設備はトイレ・温水シャワー・テレビにベッドが2台。俺は好きではないので飲まないが、電気ポットとインスタントコーヒーも置かれている。車から全ての荷物を部屋に運び込んだ。

 泊まる場所を確保できたので、次は腹ごしらえ。何でも屋で夕食になりそうなものを探し、12ランド(約120円)のチーズバーガーと27.5ランド(約275円)のフライドチキンを購入した。バナナが1本1ランド(約10円)で売られていたので、ビタミンの補給も兼ねて5本購入。野菜を食べたいが何もない。こんな食生活してるから、デブが多いんじゃないのかな〜。ここらの住民は食生活に問題ありだよ。

 部屋に戻って夕食を食べ、待望のシャワーを浴びた。汗の匂いとおさらばして、身も心もすっきり。荷物整理をして21時に就寝。


作戦終了地点  Steinkopf
戦果  E.friedrichiae(白鬼塔)
 E.burmannii(月唱音)
 E.pentops(白頭竜)
 E.spinea(魔針殿)
本日の行軍距離  473km
総行軍距離  1318km





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