作戦日誌  Mission 08
作戦開始地点  Britstown
攻撃目標  @E.fusca(蛮蛇頭)
 AE.hypogaea(螺髪竜)
作戦概要  まずは町の北側で@を撃破する。その後、南下してVictoria Westから西進してLoxton近郊でAを撃破。Carnarvonまで走って町で宿泊する。



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 携帯電話のアラームで5時起床。昨夜はうっかり寝てしまい、その後2度ほど目覚めたが、どうせ夜はすることもないのでそのまま寝続けた。おかげでこれまでの睡眠不足を全て解消できた。出発するには早過ぎるので、朝っぱらから風呂に入ることにした。『週刊プロレス』の3度目の通読をしながらのんびりと入浴。アフリカとはいえ寒いので体を温めるのにちょうど良い。

 入浴後、朝飯にする。共有の簡易キッチンにあるものを好きに食べていいと言われていたので、パンとパパイヤをいただいた。食後、部屋に戻ろうとして戻れなくなってしまった。部屋のドアがオートロックになっていて、部屋の鍵を持って出たつもりで車の鍵を持ってきてしまっていたからだ。大事なこと以外に対しては注意散漫であるという悪い癖が発動しちまった。別室で既に起きていたオーナーの母親らしきおばあさんに頼んでスペアキーで開けてもらう。

 車に荷物を積み込み、出発の準備をする。駐車したバックヤードには桜のような花を咲かせている木があり、おばあさんに訊いたらアプリコットだとのこと。建物の裏には多肉植物の鉢植えがいくつか置いてあり、サボテン・ハオルシア・エケべリア・グリーンネックレスなどが植えられていた。もちろんどれも野生株ではなく、購入したものだとのこと。


宿の裏庭にあったハオルシア

 7時半、9℃。宿を出てE.fusca(蛮蛇頭)を見つけた牧場の入口でポールが来るのを待つ。今日も昨日と同じように風が強く、曇天で日差しが届かないので寒い。


蛮蛇頭が分布する牧場の入口

 8時半になってもポールは来ないので、町に戻って教えられた携帯電話に電話することにした。ガソリンスタンド(以下「GS」と表記)の前の公衆電話はコインの投入口が閉まっていて使えなかったので、GSの店員のおばちゃんが携帯電話を貸してくれた。教えられた番号にかけたものの、電話に出たのは別人だった<後でポールの孫だということがわかった>。町の中心にある店に行って聞き込みをしたが、それでも手掛かりは得られなかった。仕方ないので再び待ち合わせ場所に戻る。

 9時、10℃。まだ来ない。このまま待っても来ないだろうと考え、ポールを探し出すことにした。他の町に荷馬車で行くには遠過ぎるし、町の周囲に人家はないようなので、彼はBritstownの黒人居住区に住んでいるだろうと見当をつける。「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という諺通り、蛮蛇頭への道はまずポールを探し出すことからだ。そうと決めたら行動は早い。さっそく車で黒人居住区に乗り込んでポール探しを始めた。手掛かりは名前とおおよその年齢と荷馬車の3つだ。黒人居住区はもちろん貧民街であるが、危険な匂いは全くしない。何人かの住人に声をかけたが、みんなとてもフレンドリーだった。年配の人はアフリカーンス語しか話せないが、若い人はほとんどが英語を話す。聞き込みをしている時に荷馬車の馬だと思っていたのはロバだということがわかった。まあ、どっちでもいいんだけどね。そして、40分ほどかかってようやくポールの家に辿り着いた。しかし、彼は留守。家にいた彼の孫の男の子が一緒にポールを探してくれることになったので、彼を車に乗せて指示された方へ車を走らせた。走りながら話をすると、学校へは毎日行くわけではないらしい。お金がないからなのか、不登校になりかけなのかは深く訊かなかった。そして、ポールが毎日牧場へ行くわけではないことも教えてくれた。ってことは、そんなポールを昨日捕まえることができた俺はとてもラッキーだ。ロバの馬車を保管してある家に行ったが、そこにもポールの姿はなかった。少し待って10時にようやくポールが来た。気温12℃。会いたかったゼ!で、ポールが操るロバ車を先導に牧場へ。ロバが走りながらポロポロと糞をするのがおもしろい。途中で牧場関係者の家で牧場の入口の鍵を受け取り、そこでポールの孫を乗せて先に車で牧場へ。


Britstownの黒人居住区にて1


Britstownの黒人居住区にて2

 牧場の入口の鍵を開ける。ようやく蛮蛇頭への扉が開いた。牧場内の道をポールの孫が指示する方へ進むと、やがて小屋に辿り着いた。その周囲で家畜や家禽が飼育されている。彼はここに残ってポール待つと言うので彼を残し、俺は彼をおいて蛮蛇頭を探しに車で移動した。来た道を少し戻る。蛮蛇頭は丘の斜面に多いとポールたちが言っていたので、車を道に停めたまま丘の斜面まで500mほど歩いて行って探してみたが、多肉植物はアロエやメセンがある程度で蛮蛇頭は1株も見つからなかった。俺が探したポイントになかっただけなのだろうか。あるかないかわからない場所で探すよりも昨日見つけたポイントに行くのが手っ取り早いと考え、車に戻ってR12号線に平行に走る牧場内の道を北へ向かった。ポイントの近くに休息所があるのでそれが目印になる。途中で車から降りて歩いてポイントへ。歩いている時にポツポツと雨が降り出した。

 昨日、蛮蛇頭を見つけた辺りで探す。あった!!!周囲を探し回ると、所々にポツンポツンと10株弱見つけることができた。苦労したけど、やっと辿り着いたゼ!大きさを測ってみると大きい株で幅25センチほど。去年はほとんど雨が降らなかったと後でポールから聞いたが、地面は乾燥してすごく硬い。荒野の中で超レア物のタコ物の魅力をたっぷりと堪能した。

























































 12時を過ぎたのでぼちぼち出発しようかと思ったら、ちょうど目の前のR12号線をポールがロバ車で俺を探しに来た。ポールに笑顔で「見つけたよ。」と報告する。ポールは、ここでは「メルクボス」と呼ばれていると教えてくれた。なるほどこれからタコ物を探す時はその土地の人にそう言えばいいんだな。それとゆーふぉは有毒の白い液体を持つのに、蛮蛇頭を胃薬として飲むとも教えてくれた。のどの粘膜は大丈夫なんだろうか。もうここを去ろうとしていることを伝えると、孫にロバ車を御させて町に帰し、彼自身は別のゲートから出るために俺の車に乗り込んだ。ポールの案内でR12号線に面する別のゲートから出る。彼ともここでお別れだ。ポールにも今日の仕事の予定が何かあっただろうに、俺のために時間を割いてくれている。そして、そのおかげで今回の遠征の目玉のひとつだった蛮蛇頭に問題なく辿り着くことができた。彼は最後まで俺に何もねだらなかったが、お礼をしようと思った。こちらの貧しい人にあげようと思って日本からたくさん古着を持ってきていたので、それをあげられるだけあげたら喜んでいた。用意した自分用の非常食を置いてきてまでたくさん持ってきた甲斐があった。それとこの牧場まで案内してくれた彼の孫に何か買ってあげてとお金も少し渡す。自分のお金の使われ方が直接わからないから日本では募金なんかほとんどしないけど、微力でもこうして自分自身の手で貧しい人を助ける方が俺は好きだ。

 ポールと別れ、Britstownの町に戻る。ポールを探す時に世話になったGSの売店で昼飯を調達。ランプステーキ<ランプとは腰骨の上部に位置する部分の肉>と書かれたパイと例によってペッパーミートステーキパイ、飲み物としてスプライトと水を買い、作戦日誌を書きながら店の前に停めた車内で前者のパイを食べた。<続く>






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