作戦日誌  Mission 01
作戦段階  第1フェイズ:攻勢開始地点への移動
作戦開始地点  Windhoek


 2015年9月19日 15時21分、俺が乗る南アフリカ航空76便はナミビアのWindhoek Hosea Kutako国際空港に着陸した。前回の遠征から2年、久しぶりに踏むアフリカの大地だ。2年間という時間はあっという間に過ぎていったけれど、その間にこの遠征の障害となるものを全て取り除いて再び戻って来ることができた俺は幸せ者である。まあ、いかなる障害があろうとも、それを叩き潰して薙ぎ払うのも遠征のうちだけどね。



 預け荷物をピックアップし、入国手続きをしてレンタカーの窓口へ。2013年の遠征ではHertzのレンタカーを使用したが、今回はAvisで予約した。理由はマニュアル車だったから。選べるなら漢は黙ってマニュアルでしょ。それに一番安いし。前回の遠征では使用しなかったが、念のため今回もレンタカーの越境書類を作成してもらう。空港すぐ前にあるAvisのオフィスに連れて行かれ、5分ほど交通事情等についてのビデオを見させられた。ナミビアでレンタカーを利用する旅行者の10人に1人が事故を起こすか巻き込まれているとのこと。これから遠征が始まるというのに不吉だな、おい。そして、車置き場で今回の遠征の相棒 TOYOTA RAV4とご対面。2013年に発売された最新モデルで、FFのクロスオーバーSUVである。今回の相棒も走行距離2万7404kmとまだまだ新しい。トラベルジグソーのサイトで予約した時にはKia Spotageとなっていたが、予想通り今回も日本車だった。やっぱり信頼性なら日本車が一番だよ。


今回の遠征の相棒と

 一休みしたいところだが、休憩の時間がもったいないのですぐに車に乗り込んで出発。時間はもう16時45分。まずは約40km先の首都Windhoekが目標だ。日本から持ってきたCDをオーディオにセットする。今回の遠征最初のBGMは、これにしようと決めていたTUBEの『あー夏休みl』。世間が盆休みだった時も仕事して、同僚が夏休みを取っても俺は働いて、この遠征のためにとっておいた大事な大事な夏休み。日本はもう朝晩がひんやりする秋だとか、今のアフリカは季節的には春だとか、そんな正論的なツッコミはどうでもいい。

誰が何と言おうと・・・

俺の夏休みは今から始まるんだっ!!!

 30分ほどでWindhoekの市街地へ到達。前回の遠征で宿泊したChameleon Backpackersの近くのスーパーマーケットで買い物をする予定だったが、17時を過ぎていたために閉店していた。仕方ないので、市街地を南に向かう途中にあったガソリンスタンドに併設されている売店で飲料と食料を買い込む。スーパーの方が安く入手できるんだけど、閉まっているんだからしょうがない。


最初に買い込んだ飲料&食料

 17時35分、28℃。Windhoekの市街地から出てB1号線を南下。TUBEのBGMを聴きながら、サバンナの中を一直線に続く道を南アフリカ共和国(以下「RSA」と表記)へ向けて南へひた走る。右からは西日が顔を射してくる。ああ、アフリカに戻ってきたんだという実感が湧いてきた。毎日遅くまで残って半月で1ヶ月分の仕事をこなした苦労も、穏やかで幸せだけど退屈な日々の生活も全て忘れられる。これから始まる目ん玉飛び出るようなストロングスタイル冒険をするために俺は生まれてきたんだ!


B1号線の景色


左の画像の道路脇の丘の様子

 18時30分、30℃。Rehobothの町を通過。

 19時15分、28℃。太陽は地平線の向こうに沈み、闇に包まれた。走りながらホットドッグを食べて晩メシにする。

 19時35分、28℃。Kalkrandの町を通過。

 20時20分、26℃。Marientalの町を通過。

 22時。眠気が強くなってきたので、道路から十分に距離を取って路肩に停車して仮眠する。2時間ほど寝るつもりだったが、ちょうど1時間後にパトカーで警ら中の警官に職務質問されて起こされてしまった。二度寝する気もなくなってしまったので、そのまま起きて南下を続ける。

 24時、Keetmanshoopの市街地の南にあるB1号線沿いにあるガソリンスタンド ENGENに到着。満タン給油する。1リットル=11.19ナミビアドル(約111円 以下「N$」と表記)。給油してくれた従業員の黒人の若者に日本から来たことを告げると、「俺はナミビアで生まれて、ナミビアで死ぬ。日本に行くこともなくね。」という言葉が返ってきた。貧富の差が激しい途上国において、貧しい者が豊かな暮らしを得ることはとても難しい。その事実を知っているだけに、日本に生まれたことと今の生活ができていることに感謝しなくちゃいけないと思った。

 1時45分、19℃。Grünauの町を通過。眠い。たまらなく眠い。暗黒のアフリカの大地を130km/hで爆走する車内で大音量で流れるAKB48の『恋するフォーチュン=クッキー』。シュール過ぎるな、おいw 前回の遠征でもそうだったけど、アフリカに着いて早々の850kmドライブはやっぱり辛い。でも、「俺ならできる」という根拠のない自信が俺の背中を押してくれる。そうやって、前回のアフリカ遠征も、それ以前の8回の南米遠征も苦難に打ち勝ってきた。精神と肉体を限界ギリギリまで追い込むのが俺の旅のスタイル。だから、辛いけど楽しい。心と体に旅の想い出をいっぱい刻み込んで、それを平々凡々とした刺激のない日本での生活の心の糧とするのだ。

 3時10分、国境の町 Noordoewerの町に到着。ガソリンスタンドで再び満タン給油する。1リットル=11.27N$(約112円)。給油後すぐにイミグレの建物に車を走らせ、出国手続きをする。

 3時30分、ナミビアの出国手続き完了。英語に難があるせいで、レンタカーの登録に少し時間がかかってしまった。前回の旅の時とは別人だけど、同じように無表情で態度が大きい係官のババア。この不愉快なクソババアどもはなんとかならないもんかねぇ。国境であるオレンジ川にかかる橋を渡ってRSAへ入国する。

 3時50分、RSAの入国手続き完了。手続きをしている時、国境の警官に「お前日本人か。じゃあ、今夜は手続きは受け付けないよ。」と言われた。驚いた俺が「なぜ?」と訊くと、「ラグビーのワールドカップで日本がRSAに勝ったからさ。」と返ってきた。対戦することは出発前に新聞で読んで知っていたし、RSAは世界ランク3位の強豪で勝ち目が薄いことも知っていたけど、ここに来る間に試合があったことは知らなかった。しかも勝敗など知る由もない。警官は34-32とスコアを書いてくれた。「ミラクルだから勘弁してよ。」と言ったらウケていた。まったくポリスマンジョークに一本取られたゼ。


 ★★★じゃんきーの知ったかぶり解説★★★

 RSA国内では、メジャー球技は人種によって分かれている。一般的に白人はラグビー、黒人はサッカーをそれぞれプレイする。もちろん例外もあるが、率としてはかなり低い。日本の男の子がキャッチボールをしたり、サッカーで遊ぶように、RSAの白人の男の子たちはラグビーのキャッチボールをするのだ。日本だと野球とサッカーが人気を分け合っているが、RSAではラグビーが人気を独占している。RSAのナショナルチームは「Springboks」(Springbokはウシ科の動物)の愛称を持ち、国民からの大きな期待を背負っている。2015年9月28日現在の世界ランキングは5位(ちなみに日本は12位)。当然、遠征前からイギリスで開催されていたラグビー ワールドカップにも関心が高く、他国の試合やSpringboksの近況などが新聞の紙面やニュース番組でも盛んに取り上げられていた。



 4時10分、25度。トイレで洗髪してからRSA側のイミグレを出発。N7号線を南下する。

 5時、16℃。Steinkopfの町に到着。市街地の北でN7号線からR382号線に入って西進する。助手席に手を伸ばして適当にパイを掴むとペッパーステーキ味だった。運転しながら食べる。懐かしい味。俺にとってアフリカの味って言ったらペッパーステーキパイだね。

 5時55分、20℃。眠気に耐え切れないため、Port Nollothまで20~30kmの休憩所に入って寝た。



※Google マップの各機能が使えます

作戦終了地点  Port Nollothの東20~30km地点
本日の行軍距離  970km
総行軍距離  970km





inserted by FC2 system