作戦日誌  Mission 02
作戦段階  第2フェイズ:南アフリカ共和国 北ケープ州侵攻
作戦開始地点  Port Nollothの東20〜30km地点


 6時35分、17℃。起床したものの、30分も寝ていないから眠い。辺りはもう明るくなっているが、風が強い。身支度を整え、フィールドワーク用の迷彩ズボンに履き替える。これでテンションも上がってくる。

 Port Nollothに向けて車を走らせる。町に入る前にR382号線を左折し、Port Nollothの南に近接するMcDougallsに向かう。住宅地の直前で道路が右に曲がるのだが、俺はその曲がり角を直進する。もちろん未舗装だが、その先を左折した数百m先で狙いのゆーふぉが確認されている。


 ★★★Mission 02−1   ターゲットはこいつだ!★★★

 この地で狙うのはE.ramiglans。1915年にNicholas Edward Brownによって記載されたタコ物。E.caput−medusae(天荒竜/王孔雀丸)の近縁種であり、そのシノニムとする説もある。ナミビア南部と南アフリカ共和国 北ケープ州の沿岸部に分布している。2013年の遠征でも探したが、見つけることはできなかった。今回はそのリベンジ!


 舗装された道路から外れ、10mも進まないうちにフロントタイヤがスタックしてしまった。白く柔らかい砂にタイヤが沈み込んでいく。ヤバいかなと思った時にはもう遅かった。やっぱりこういう所は4WDじゃないと無理かなぁ。周囲にあった板や岩を使って脱出を試みるが、うまくいかない。早朝で人影もないので助けも呼べない。朝イチからツイてねぇな〜。


スタックした相棒

 気分転換するために、現実逃避して周辺を索敵することにした。E.ramiglansを見つけられると良いんだけどな。


McDougalls周辺の景色1


McDougalls周辺の景色2


たくさん結実させていたE.burmannii(月唱音)


Crassula sp.


名無し2−1−1


Drosanthemum hispidum(花弥生)

 結局、周辺の索敵ではE.ramiglansを見つけることはできなかった。いつまでもここにいるわけにもいかないので、徒歩で移動して近くの民家のおっちゃんに助けを求める。その作業中、通りかかった4WDのパトカーに乗った警官3人組に頼んでワイヤーで引っ張ってもらい(パトカーで俺の車を引っ張る)、8時40分にようやく砂地獄から脱出することができた。みんなに感謝。

 助けを求めたおっちゃんの家のバックヤードに多肉ガーデンがあったので、お願いして見せてもらうことにした。おっちゃんと奥さんがこの辺りで採集してきて植え込んでいるとのこと。


助けてくれたおっちゃんちの多肉ガーデン

 で、見つけちまったんだな。上の画像の中央右下に注目!

あら、こんな所に牛肉が♪


E.sp.aff.ramiglans1



E.sp.aff.ramiglans2

 天荒竜系のタコ物だ。E.ramiglansであるようにも見えるし、違うようにも見える。これも自宅周辺で採取したのかと訊くと、もっと東の方、つまりもっと内陸で採取してきたとの返事。とすると、E.confluenceの可能性もある。枝挿しで増やしていて、何株か植えられていた。E.confluenceはもっと天荒竜に近い草姿だから、消去法でE.ramiglansかなぁ。はっきりしているのは、今はもう野生株じゃないから俺にとっては用無しってこと。

 9時30分、19℃。事前に調べておいたポイント付近での索敵を諦め、R382号線周辺の町の東側で索敵するために移動することにした。ここ周辺での索敵にこだわると、車が再びスタックすることは火を見るよりも明らかだ。これ以上の時間のロスは許されない。それに少なくとも町の東5kmまではE.ramiglansの分布域であることは遠征前の情報収集で知っているから、ここだけに固執する理由はない。R382号線に戻り、町の東側で何回か場所を変えながら索敵した。


名無し2−1−2


名無し2−1−3


名無し2−1−4


Mesembryanthemum sp.


Zygophyllum sp.


Cheiridopsis sp.


Port Nolloth周辺の景色

 索敵してもE.ramiglansは見つからなかった。遠征前に組んだタイムスケジュールでは、8時までの索敵で撃破することになっていたが、時間は既に10時近い。このままだと後の予定がどんどん狂っていくので、残念だけどE.ramiglansは諦めることにした。今回は見つけられるって思ってたんだけどな〜。

 ほとんど索敵することなく、R382号線を東に向かう。前回の遠征の時は気付かなかったけど、道路脇の牧場のフェンスに花で飾られた十字架が取り付けられているのを10個以上も見た。故人を偲ぶために事故現場付近に設置したんだろうけど、この道路は他の道路に比べると異様に十字架の数が多かった。あまり良い気はしないね。。。

 東に進むと、土壌が赤土になった。当然、植生も変わってくる。R382号線沿いでもE.dregeanaの姿を見ることができるが、前回の遠征でナミビアのRosh Pinah周辺で見たものと比べるとサイズが小さい。別種なのか、亜種なのか、変種なのか。何なんだろう。。。それとE.spinea(魔針殿)とは異なる緑枝類のゆーふぉを見つけた<帰国後に『THE EUPHORBIA JOURNAL』等の資料で調べてみたが、種の同定には至らず。>。


名無し2−1−5


名無し2−1−5の幼苗


E.dregeana


E.sp.


R382号線沿いの景色1


R382号線沿いの景色2(上の画像のポイントの道路北側)


R382号線沿いの景色3(上の画像のポイントの道路南側)


名無し2−1−6


名無し2−1−7

 Eksteenfonteinへと続く道の入口を通りかかった。E.versicoloresの模式産地はこの町の近くであるが、片道数十kmも北へ走らなければならないので訪れる時間的な余裕は全くない。記念に写真だけ撮っておく。


Eksteenfonteinの看板で記念撮影


Eksteenfonteinへと続く道

 車はさらに東へ走り続ける。<続く>





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