16時、19℃。E.tuberculata(緑仏塔)の分布地のポイントを出発。R364号線をさらに東へ。前回の遠征のルートを決める時、悩みに悩んで断腸の思いで諦めた場所にこれから行けるのかと思うとワクワクする。日没まで時間の余裕がないのが問題ではあるが。。。

 Clanwilliamの東の山には特徴的な岩場が広がっている。岩々が織り成す美しい景色に思わず何度も停車して撮影してしまった。


R364号線沿いの景色1


R364号線沿いの景色2


R364号線沿いの景色3
Clanwilliamの市街地がはるか下に


R364号線沿いの景色4


名無し3−5−1


名無し3−5−2


R364号線沿いの景色5


R364号線沿いの景色6


R364号線沿いの景色7


R364号線沿いの景色8

 山を越えると、景色は一変する。再び西ケープ州西部の典型的な風景が広がっており、潅木が生える丘陵と平地がどこまでも続いている。Biedouw谷へ至る道が南に分岐する地点から道路は未舗装になる。パンクすると厄介なので、40km/hに速度を落として慎重に運転した。


R364号線沿いの景色9
峠の頂上から東を望む


R364号線沿いの景色10
上の画像と同じポイントのもう少し北側


R364号線沿いの景色11


R364号線沿いの景色12
上の画像と同じポイントから来し方を望む


いよいよ目的地(画像中央の谷間)が見えてきた

 17時15分、19℃。ずっと思い焦がれた地 Botterkloofの入口に到着。この地に来たいと願って3年、ようやく来ることができた。感慨深いけど、時間がないからすぐにゆーふぉハント開始!谷の西側を北東に伸びる道路を低速で走りながら索敵する。


 ★★★Mission 03−5   ターゲットはこいつだ!★★★

 この地で狙うのはE.hallii(松葉キリン)。1953年にRobert Allen Dyerによって記載されたタコ物(個人的には「広義のタコ物」ではあるが、「狭義のタコ物」ではないと考えている)。南アフリカ共和国 西ケープ州(州境近くなのでおそらく北ケープ州にも)に分布している。詳細な分布地については、俺が調べた資料の中ではここBotterkloofとBiedouw谷しかなかった。多肉植物研究者 Harry Hallが1948年10月にこの地を訪れて発見した(『THE EUPHORBIA JOURNAL』2巻19ページに記事あり)。3年間思い焦がれた地で、この日のファイナルハントに挑む!



Botterkloofの景色1


Botterkloofの景色2

 17時35分、道路脇のフェンス際で発見!草姿が特徴的だからすぐにわかった。


これが松葉キリンだ!


松葉キリン


松葉キリンの分布地の様子

 やったー!松葉キリンだー!!!3年間の思い入れがあるから、嬉しくて嬉しくてしょうがない。今日は朝から2打席連続空振り三振だったけど、第4打席でサヨナラホームランを打ったようなもの。喜び過ぎて写真を撮るのを忘れそうになる<結局、3枚しか撮ってないし>。たぶん現地で本種を見つけた日本人は俺が最初、本種の写真を公開するのも俺が最初だろう。


名無し3−5−3


名無し3−5−4


Tylecodon wallichii(奇峰錦)


奇峰錦2


Botterkloofの景色3


Botterkloofの景色4


Botterkloofの景色5

 18時15分、17℃。2株目の索敵を打ち切る。日はまだ残っているが、もう見つけられないような気がした。心のどこかで1株目で満足してしまったからだろう。谷の入口に戻る。Google マップで衛星写真を見ているだけだったこの地に来ることができた。そして、念願叶ってこの奥地でひっそりと自生している松葉キリンを見つけることができた。これ以上の喜びはない。別に1株でもいいと思った。これ以上欲張ったら罰が当たるよ。タバコを吸いながら、もう二度と訪れることはないであろうこの地の美しい景色を両の眼にしっかりと刻み込む。そして、吸い終わってから、心からの感謝を込めて谷の奥に向かって一礼した。俺は無神論者だから、いかなる神様も信じない。でも、ここにはゆーふぉの女神がいるんじゃないかって思う。情報収集や体力作りとか、この遠征のための全ての努力と流した汗がゆーふぉの女神を振り向かせてくれたんだって俺は信じてる。

あとは俺のフェロモンだなw

 谷の入口を流れるDoring川(Doorn川)沿いに牧場の使用人たちの家が並んでいるので行ってみた。この谷の名前を書籍やインターネット上で見つけることはできなかったので、Biedouw谷のように名前が付いているなら知りたいと思ったからだ。1人だけ英語を話せる若い黒人の主婦がいたので、名前をノートに書いてもらった。「Dawid snyders」というらしいが、牧場のオーナーの名前っぽい感じだな<帰国後に調べてみたが、やはり谷の名前は教えてくれたものではないようだ>。

 18時45分、16℃。Doring川に架かる橋を渡り、Clanwilliamに向けて来た道を戻る。途中までのグラベルロード(未舗装の道)でパンクしなければいいが。。。帰りももちろん低速で慎重に運転する。運転しながらSteinkopfで買ったペッパーステーキパイを食べて晩メシとした。


Doring川に架かる橋

 19時20分、12℃。道路が舗装されているポイントに到着。無事にパンクせずに戻ってくることができて良かった。緊張を解すためにタバコを一服して少し休憩する。

 20時05分、15℃。Clanwilliamの町に帰着した。そのままガソリンスタンドに入って満タン給油する。1リットル=12.4ラント(約124円)。休憩も兼ねて、黒人従業員4人とおしゃべりした。タバコを吸っているヤツが1人いたので、日本から持ってきたウィンストン ライトを1本あげるとすごく気に入っていた。前回の遠征で町から遠く離れた場所でタバコが切れてしまった時に10本ほど箱に入れて分けてくれたロニーのことを思い出し、開封したばかりの箱をそのまま彼にプレゼントした。すると彼は「南アフリカのタバコには化学物質が入っていて、頭がヤられちまうんだ。」と言いながら、持っていた自分のタバコをクシャクシャに丸めて投げ捨ててしまった。

いやいや、もう十分ヤられちまってると思いますよ?w

俺があげた箱を吸い終わったら、また地元で売ってるタバコを買うしかないでしょうに。。。もったいねーな。1人で旅をしているのかと訊かれたので、女の子と一緒だと答えた。もちろんジョークだ。どこにいるのかと訊くので、物が散乱している助手席を指差し、「サイドシートに座ってるけど、俺みたいに心がピュアな人間にしか見えねーんだよ。」と答える。

まあ、ピュアブラックだけどなw

こんな地元の人とのちょっとした交流も遠征の楽しみのひとつだ。

 20時30分、Clanwilliamを出発してN7号線をさらに南下する。前回の遠征ではここまで来て北上したが、今回は西ケープ州のさらに奥まで侵攻するのだ。

 21時15分、14℃。Citrusdalの町を通過。

 21時40分、13℃。N7号線からR44号線へ。

 22時05分、12℃。Portervilleの町を通過。

 22時25分、14℃。Goudaの町を通過。町の南でR44号線からR46号線へ。

 23時、12℃。Ceresの町を通過。この町の北東のR356号線沿いにおいて、夜戦でE.multiceps(多頭キリン)を狙う予定だったが、コンディションと時間を考慮して取り止めた。明日も分布地に行くし、遠征前からここでの夜戦は可能なら実施という予定だったので、別に問題はない。というわけで、南東に折れるR46号線をそのまま先へ。

 24時、9℃。R46号線からN1号線へ。

 24時30分、9℃。Matjiesfonteinの集落を通過。この綴りで「マイキースフォンテイン」と発音するのは理解に苦しむね。

 24時50分、11℃。Laingsburgの町に到着。ガソリンスタンドで満タン給油する。1リットル=12.4ラント(約124円)。ここからR323号線へ。

 25時20分、11℃。R323号線から名もなき道へ。グラベルロードなので、路面の状態を見ながらパンクしないよう慎重に運転する。

 26時、8℃。猛烈な眠気のため、運転しながら意識を保つのが精一杯。もう脳味噌の限界だ。鍛えれば体力はつくけど、睡魔はどうしようもない。今日はまだ先まで行く予定だったが、これ以上の運転は危険なので路肩に停車して車中泊した。



※Google マップの各機能が使えます

作戦終了地点  Laingsburgの南西約30km地点
本日の行軍距離  886km
総行軍距離  2396km





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