E.fortuitaのハントを諦め、R62号線をLadismithに向けて北東へ。途中でR327号線に入り、グラベルロード(未舗装の道)を南進する。iSpotのこのフィールドレポートのポイントでE.multiceps(多頭キリン)を狙うのだ。しかし、道路から250mほど入ると、大きな木の下がダチョウの飼育スペースになっていて、その中を通る道路にはゲートとフェンスがあった。遠征前には入念に航空偵察をしたが、木の下は衛星写真に写らないからチェックのしようがない。ちくしょー、ぬかった。というわけで、このポイントにおける多頭キリンのハントはあえなく終了。



 多頭キリンは、今回の遠征でハントを狙うゆーふぉの中でも最重要レベルの種である。いや、むしろ古代ペルシアの「シャーハンシャー」<「王の中の王」とか「諸王の王」という意味 英語ならKing of Kingsというところ>というべきか。ハントしたいゆーふぉの筆頭であるので、当然こういった場合に備えてハンティングポイントは複数準備してあるし、その場合のルート変更も想定済みだ。

 というわけで、気持ちを切り替えて、次なるゆーふぉを狙うために転進する。R327号線からR62号線に戻って東へ急ぐ。Ladismithの町を通過し、谷を縫うように続く道をどんどん進む。


Aloe ferox(青鰐/幻魔竜/猛刺)


青鰐の標本株サイズが林立するR62号線沿いの景色


R62号線沿いの景色2


R62号線沿いの景色3


R62号線沿いの景色4


R62号線沿いの景色5


R62号線沿いの景色6
目的地の町が見えてきた

 11時55分。目的地の町に到着。やって来たのはここ。


市街地の西にて

 タコ物が好きな人なら、町の名前を見れば俺の狙いはすぐにわかるだろう。


 ★★★Mission 04−3   ターゲットはこいつだ!★★★

 この地で狙うのはE.gamkensis。1999年にGerhard Marxによって記載されたタコ物。南アフリカ共和国 西ケープ州のCalitzdorp周辺にのみ分布している。


 町の入口で写真撮影だけして、そのまま町の南へ。昼メシ時だが、今日はまだ何の戦果もないからメシなんて食ってる場合じゃねぇ。1食抜いたって死にはしないから、メシよりゆーふぉだ!

 フィールドレポートはないが、航空偵察でありそうだなと思った市街地南東の台地へ。市街地からGamka川東岸を南に伸びる道とRemboogte駅に至る道の分岐点から400mほどのポイント。少し索敵してみたが、お目当てのE.gamkensisは見つからない。周囲はダチョウ牧場になっていて、柵の中に入るのはいろいろなリスクを伴う。土壌の様子や植生の感じからここにはなさそうだなと判断した。近くに1人で植物の撮影をしている人がいて、俺の方に向かって歩いて来る。話かけてみようかなとも思ったが、同行したいとか言われたらめんどうなので、車に戻ってさっさと移動した。


名無し4−3−1


名無し4−3−2


Calitzdorpの市街地南東の景色

 移動する先はiSpotのこのフィールドレポートのポイント。他人の二番煎じは本意ではないが、限られた時間で効率良くハントして回るには妥協も必要だ。市街地の南に広がるダチョウ牧場やブドウ畑の中を通るグラベルロード(未舗装の道)を土煙を巻き上げながら猛進する。

 ポイントに着いたら道路端に駐車し、リュックを担いですぐに索敵開始。航空偵察でイメージしたとおり、道から東側に向けて上がる斜面になっている。道と斜面はフェンスで仕切られているが、ここには出入り口があって開いていた。入口でガガイモがお出迎え。種類はわからん。でも、ここで見たガガイモはこれ1株だけだった。この斜面でも外来種のサボテンがあちこちで見られ、少なくとも2〜3種はある。あまり興味がないゆーふぉ以外の多肉も何種類かあった。また、初めて見る小型の緑枝類の不明種(E.aequoris)も1株見つけた。ゆーふぉを探しながら、上へ登っていく。30mほど登ると、上は平らになっていた。ここは台地状になっている地形の端っこのようだ。


Gamka川東岸から西岸を望む


索敵した斜面の様子


ガガイモの仲間


Astroloba corrugata


Tylecodon reticulatus(万物想)


名無し4−3−3


Crassula tecta(小夜衣/紫雲竜)


Aloe longistyla(百鬼夜行/長生錦/鯱錦)


E.aequoris

 索敵開始から15分ほど経った時、斜面と台地の境目辺りでついに1株目を発見!


これがE.gamkensisだ!

 1株目の周辺でさらに大小3株、合計4株見つけることができた。やったゼ〜!!!現地球は、事前のイメージよりも大きいようで小さく、小さいようで大きい。なんか不思議な感じ。


1株目


2株目


3株目


E.gamkensisの分布地の様子

 この後のことを考えると時間的な余裕があるとは言えないので、それ以上の索敵はやめておく。それと理由がもうひとつ。斜面の下に人家が2軒あるのだ。窓からは斜面の一番上にいる俺の姿はよく見えるはず。しゃがんで作業していれば下からは何をしているか見えないが、この辺りでは珍しいアジア人が何かやっていれば怪しいことこの上ない。ここは西ケープ州。決して気は抜けないし、油断は命取りになる。長居は無用だ。



 Calitzdorpの市街地に戻り、スーパーマーケットで買い物。水とレタスのサラダ、そしてコーラをお買い上げ。

 13時50分、24℃。次なる目的地を目指し、Calitzdorpを出発してR62号線を西へ。つまりLadismith方面に戻る。神経を磨り減らしたけど、好きなタコ物の1つであるE.gamkensisをハントできて良かった。ゆーふぉを見つけることができた時は、やっぱりテンションが上がる。運転しながらコーラの缶を開けた。

俺にかんぱぁ〜いっ!!!

 <続く>





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