小道での索敵に見切りをつけ、Merwevilleに至る名も無きグラベルロード(未舗装の道)沿いに索敵を行う。しかし、E.multiceps(多頭キリン)は見つからない。リスクはかなり高くなるが、GM437のポイント(Koup駅の西2〜3km)に近いN1号線沿いで索敵するしかないと考えた。

 11時50分、23℃。N1号線から10km弱ほど進んだ所でUターンし、Koup駅に引き返す。運転しながらClanwilliamで買ったパンの残りとCalitzdorpで買ったレタスの残りを食べて昼メシとする。


名無し5−3−1


名無し5−3−2


名無し5−3−3


名無し5−3−3の同種異株


名無し5−3−4


Gazania sp.


名無し5−3−5


Pleiospilos compactus


名無し5−3−6


名無し5−3−6をアップで

 12時10分。Koup駅まで残り1kmほどの地点で、多頭キリンに似た草姿の植物を見つけたので停車して確認しに行った。残念ながら多頭キリンではなかったが、降車したついでにちょっとだけ周囲を索敵してみる。何もなければ日誌にも書き留めないようなちょっとした索敵になるはずだった。そう、何事もなければ。。。車に戻って出発しようとして、車の鍵がないことに気が付いた。ポケットに入れたはずなのに、どこかに落としたのだろうか。でも、ここで歩いた距離は100mにも満たないし、歩いたのは1辺が40mほどの正三角形の小さなエリアだ。しかも、小さな潅木がまばらに生えているだけの見通しの良い場所。当然、すぐに見つかるだろって思ってた。鍵を探すついでに植物の写真も撮ろうとカメラ片手にのんきに車の鍵を探し始めた。


名無し5−3−7
走行中の車からはこいつが多頭キリンのように見えた
こいつのせいで。。。


名無し5−3−8




名無し5−3−9


名無し5−3−10


名無し5−3−11


名無し5−3−12


名無し5−3−13


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名無し5−3−15


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名無し5−3−17


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Lithops terricolor(碧瑠璃)1


碧瑠璃2


車の鍵を紛失したポイントにて1


車の鍵を紛失したポイントにて2


バッタ


左の個体を別角度で

 しかし、当初の考えとは逆に、探せど探せど車の鍵は見つからない。だんだんと焦りが膨らんでくる。くそーっ、なんで見つからねぇんだーっ!!!

「坊やだからさ」

 探し始めてから2時間半が経過した時、北から4人家族の乗ったピックアップトラックがやってきた。車を止めてドライバーのおっちゃんに事態を相談すると、おっちゃんは携帯電話で誰かに電話して相談してくれた。おっちゃんの話では、Laingsburgに鍵屋はないので、キャリアカーに乗せて最寄のトヨタがあるWorcesterの町まで運ぶことになるとのこと。そうすると費用もけっこうかかるだろうし、時間のロスも大きい。それだったらここで鍵を探し出す方が良いと考えた。礼を言って鍵探しを続行する。おっちゃんはラグビー ワールドカップで日本が南アフリカ共和国を破った例の試合を引き合いに出し、南ア代表チームの呪いだよと冗談を言って去っていった。

ラグビーをやったこともない俺には関係ないじゃーんっ!!!

 その後も休みなく、ひたすら車の鍵を探し続けた。ズボンのポケットは言うに及ばず、自分の全身と車内を何度も何度もチェックした。歩いたエリアもくまなく隅々まで探し回ったが、まるで神隠しのように見つからない。普通に考えれば誰でも見つけられると考えるシチュエーションなのに、どうしても鍵を見つけることができない。俺がこのポイントに来た後、通りかかった人は1人もいなかった。俺が止めた車以外は1台もここで止まっていなかった(そもそも通った車はたった3台だけ)。落とした鍵を咥えていってしまうようなある程度の大きさの動物も1頭もいなかった。同様にそんな大きさの鳥も空を飛んでいなかった。そう考えると、なぜ車の鍵が見つからないのか俺には理解できなかった。

 俺が焦燥感に包まれながら車の鍵を探している間も太陽は西に傾き続け、ついに地平線の向こうに沈んでいった。こちらの人は基本的に17時の定時を過ぎると仕事をしないから、レンタカー会社のAvisに電話しても今日のうちは助けは来ないだろうと思った。鍵を探しながら、もしかしたらここに野宿するはめになるかもなと思っていたが、それが現実のものとして目前に迫ってきた。薄暮の中、真っ暗になる前に早めに懐中電灯と予備の電池を準備する。ゆーふぉを探すのに使うはずだった懐中電灯で車の鍵を探すはめになるとは。。。前後左右4枚の車の窓は全てフルオープン。しかも南向きにとめた車に対して風は西から東に向かって吹いているので、車内にはビュービューと風が吹き込んでくる。でも、鍵がないから閉めることもできない。この吹き曝しの状態で気温が下がる深夜・早朝を乗り切らなければならないのは厳しい。

「なんて日だ!」

 19時30分。懐中電灯の明かりで鍵を探し続けたが、どうしても見つからない。辺りはもう真っ暗だ。虫の声と1kmほど先のN1号線を走る車の音だけが聞こえる。ずっと休み無く鍵を探し続けてきたが、さすがに疲れたので車の運転席に座って休憩することにした。休憩しながら状況を整理する。

<プラス面>
 @ 強盗など犯罪に巻き込まれる心配はほぼない場所であること → その代わりに俺を助けてくれるような良い人もいないけど。。。
 A 猛獣がいる場所ではないこと → 窓がフルオープンでも安心して寝ることができるな
 B 飲料水と食料が十分あること → とりあえず死ぬことはないね
 C 約1km先にN1号線があること → 一晩中車が走っているから緊急時はそこまで行けば誰か助けてくれるっしょ
 D 携帯電話の電波の圏内にいること → 最後の手段として自分の携帯電話で助けを呼べるじゃん
 E 懐中電灯は2本、予備の電池もたくさんあること → これで暗闇でもバッチリ
 F Koup駅からMerwevilleに至る道の路上にいること → 毎日必ず人が通るし、助けを呼ぶ際に現在地の説明も簡単だゼ
 G まだ旅の途中で、日数が十分残っていること → スケジュールの変更が可能だし、復路の飛行機には十分間に合うね

<マイナス面>
 @ 車の牽引用フックが後部にしかないこと → 普通の車に牽引してもらって移動することはできないな
 A 風が思いっきり吹き込むうえ、深夜・早朝に10度弱まで冷え込むこと → 寝袋はあるが、できるだけ厚着して耐えるしかねぇ
 B 救助を要請すると、それなりに出費がかかること → 鍵を見つけられなければ、それは仕方ねぇ
 C 遠征のスケジュールがさらに狂うこと → 断腸の思いで1日削ったのに、さらにもう1日は厳しい。。。

状況を整理すると、大したことじゃないなって思った。命の危険があるわけじゃないし、呼べば助けは来る。命の危険があって助けも呼べない状況なら絶望的だが、そうでないのだから切り抜けることは可能だ。まあ、車の鍵を見つけることができればそれがベストなんだけど。。。

 20時30分。鍵探しを再開する。暗闇の中、懐中電灯の明かりを頼りに同じエリアをひたすら徘徊した。

 22時05分。疲れたので再び休憩。車の鍵を無くしてこの地に釘付けされることになってしまったが、1つだけ良いことがあった。それはリトープスを見つけることができたこと。前回の遠征でも見つけられなかったし、ゆーふぉをメインにしたルートと索敵だと今回の遠征でも出会うことはできないだろうと思っていたので、そのことだけは嬉しかった。リトープスは少し興味がある程度だから種類まではわからないし、珍しいものかどうかもわからない。でも、現地で見ることができるというのは格別なものだ。ここで見るまで、リトープスはオープンスペースに生えているものだとばかり思っていたが、実際には潅木の根本に隠れるように生えていて、オープンスペースでは1株も姿を見ることはなかった。また、数も多くはなかった。

 22時30分。晩メシを食べてないが、食欲も無いのでそのままふて寝することした。



※Google マップの各機能が使えます

作戦終了地点  Koup駅の北約1.2km地点
本日の行軍距離  152km
総行軍距離  2980km





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